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「大竹まこと ゴールデンラジオ」で清水潔が話したこと

東京都知事選の翌7月6日、『鉄路の果てに』著者の清水潔さんが文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ」に生出演されました。選挙結果に対する考えや、取材対象者と記者の適切な関係の結び方についてなど、興味深い話をたっぷり展開。長年の取材者としての実感のこもった言葉を、ぜひこちらでお聴きください。22分間です。22分間で、たくさんのことが伝わってきます。

後半では『鉄路の果てに』にも話が及びます。大竹まことさんは、本書をどのように読んだか。以下、本に関わる部分のトーク内容を紹介します。

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大竹 『鉄路の果てに』という御本は、お父様がお亡くなりになった後に、清水さんがメモを発見なさったところから始まる。お父様がお書きになったというメモを。

清水 そうです。私の父は2013年に亡くなりましたが、日中戦争に行ってます。そのあと捕虜になってシベリアに抑留されたという人生だった。
僕は父の生前にあまり詳しく話を聞けていなくて、断片的にしかわからなかった。亡くなった後に、本当はもっと聞いておけばよかったと思いました。
そんな時に実家の整理をしていたら、一冊の本が出てきまして。それがシベリア抑留に関する本でした。
ちらっとめくったら、メモが付いていた。「だまされた」とか、自分の経歴がびっしり書いてある。地図もあって、父親が日本から朝鮮半島へ行き、中国に行って、ハルビンから列車でシベリアまで運ばれ抑留されたという、赤い線が引かれていた。
これを辿ってみたいと思って、去年の冬、一番寒いときに、ほぼ同じルートで、韓国、中国、ロシアと旅をしつつ、考えたことをまとめた。そういう本になってます。

大竹 寒かったですか。

清水 寒かったですね。それでもね。去年はまだよかったらしいです。マイナス20度くらいまではいったと思うんですけど。

大竹 小説を書かれる方と一緒に行った?

清水 小説家の青木俊といって、僕の友達なんですけど。一人で行くのもなと思っていたときに、彼はちょうど中国語が少しできて、ロシア語学校にもいたので、こんな便利なガイドはいないということで。通訳兼で行ってもらったんですよ。彼との会話を本の中に盛り込みました。

大竹 青木さんはずいぶん韓国が楽しかったみたいですね。

清水 がっぱがっぱ食って飲んで。

大竹 韓国は親しくなると、お刺身とかくるんで、相手の口元まで運んでくれる。それがかなりの接待。

清水 本当に親しい人にしますね。青木という男はそれを喜んで、ニタニタとしながら食べてましたけどね。

大竹 一回だけ蟹をそういう接待で食べたことがあるんですが、本当に親密に身をほぐして口元まで運んでくれて。いやいやいや、それはともかくとして。
ハルビンの市内に31階建てのビルがあると。

清水 高層ビルだらけです。ハルビンだけじゃないです。取材で重慶や南京など色々行ってますが、どこも高層ビルばっかりです。ホテルに泊まっても値段が高くて、下手したら東京より高い。

大竹 へえ。

清水 中国とか韓国とか、ぜひ行ってみてほしいですよね。見方、考え方が変わります。

大竹 中国は今、人権問題で大変なことになってますが。さて、ずっと旅をなさって、ソ連は日本人を57万5000人抑留し、そのうち5万5000人が亡くなったと本にある。大半の方は3〜4年で帰国できたけど、10年以上抑留された方もいらっしゃる。お父様は3〜4年の抑留で日本に帰ってきた。

清水 そうです。怪我をしたので。転落してお尻に金属の棒が刺さったので、3年くらいで帰ってこられたということでしたね。子どもの頃、お風呂に入るとお尻に傷があってどうしたんだろうって思っていたんですけど、そういうことを、父の死の間際に知った。

大竹 うちの親父も満州帰りなんですけど、当時のことはちょっと、まあ、当たり障りのないところは話してくれるんですけど、それ以上のことは……。

清水 言いたがらない。

大竹 ですよね。

清水 思い出したくないみたいですけど。それでもわれわれの家族に、そういう人たちがいるということを知って欲しいと思いますね。

大竹 御本の中では、その言いたがらないところに、何か大きな問題があることを書いておられる。そこを知らないと、抑留されて帰ってきたとか、虐待されたというだけの話になってしまう。日本人が当時中国に攻め入って、満州を統治し、そこで何をしたか。どのようにその場所から追われたか。ちゃんと知らないと、歴史がよくわからなくなるとお書きになってますね。

清水 そういうことを知りたいし、知っておく義務があると思います。今回僕が一番言いたかったのは、自分の家族を含めて必ず戦争に関係があるので、まずはそれを辿ってみませんかというところです。

大竹 日本の昔のことを僕たちは知らない。公文書だって戦争が終わった後に焼かれてしまったし。伝わるものが少ないですね。

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お話の全容はこちらでお聴きください→大竹まこと ゴールデンラジオ!「大竹メインディッシュ」7月6日ジャーナリスト清水潔

・『鉄路の果てに』内容紹介についてはこちら
・写真で巡る韓国・中国・ロシアの旅はこちら
・冒頭8000字の試し読みはこちら
・「本には無いまえがき」はこちら
・矢部宏治さんと清水潔さんの対談はこちら
・書店員の皆様のコメントPart1はこちら
・書店員の皆様のコメントPart2はこちら
・清水潔が選ぶノンフィクション7選フェア開催店とパネル展開催店についてはこちらをご参照ください。

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