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「最初はグー」や「アイーン」が生まれたのも“遊び”があったから。志村けんさんの「遊びの極意」とは。


『志村流 遊び術』がついに文庫になって登場します。​


志村流遊びの哲学、少年時代の思い出から、恋愛、趣味、日常生活まで腹八分目の“ほどほど主義”を貫きつつも、限られた時間を存分に楽しむためのこだわりと極意を、プライベートなエピソードもふんだんに盛り込みながら大公開します。

「最初はグー」や「アイーン」が生まれたのも“遊び”があったからこそなんです!

今回、本書の中から、「まえがき」部分を公開します。

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五十歳を少しばかり過ぎた頃、「これまでの自分の生き方や、たどって来た軌跡を何か形にしておければ」という思いから、『志村流』を書いた。仕事を通して感じたことや、社会生活のなかのごくごく当たり前の常識みたいなことを自分なりに書いたのだが、意外にもそれが好評だった。余談だが、オレのテレビの番組名まで『志村流』へと発展してしまったのだった。

もともとオレ自身は偉いわけでもないから、決して聖人君子みたいなことを言うつもりもなければ、ましてや説教くさい話をするのも嫌だし、されるのも嫌だから極力、実体験に基づいた話をしただけだ。「1+1=2ですよ」と同じくらい常識的な話を書いたつもりだったが、基礎中の基礎である「1+1=2」といった常識や礼儀みたいなものを、近頃は知らない若い人たちが多くなっているらしい。

仕事におけるイロハは「理屈や理論」ではなく、「礼儀やしきたり」だったりする。それをすっ飛ばしていたら、ビジネスは成り立たない。なぜならビジネスの根っこは人付き合いだからだ。いくら凄い能力や才能があっても、人間的に問題がある人はうまくいかないだろう。

まったく能力や才能、そして根性すらなければ箸にも棒にも掛からず、誰にも相手にされないよね。しかし卓越した能力や才能がなくても、きちんと挨拶が交わせて礼儀を尊ぶ人は、可愛がられる余地がそこに残されていると言ってもいい。

この部分をさらに掘り下げたのが、今回書いた『遊び術』だ。ビジネスを通した付き合いならば金銭的繋がりがあるからお互い我慢もするが、こと、遊びやプライベートな時間を共有するとなると、今まで隠されていた人間性がモロに出るから侮れない。

「遊び」とひと言でいっても遊興的な遊びから、旅行や余暇、趣味、ゆとり、息抜き、なごみ、といったものまでその幅は広く簡単にひと括りにはできないが、そのなかでの守るべきルールとか掟、常識、知恵、愉しみ方、感じ方といったものを、オレの経験やオレなりの考え方を元に書いてみることにした。「あ〜、なるほどね」と、多少でも頷いてもらえる部分があれば嬉しいね。

「仕事」が塩だとすれば、「遊び」は水かもしれない。

しょっぱい食べ物、例えば辛子明太子をたくさん食べると喉が渇く。すると本能的に水が欲しくなる。水分を取ることによって塩分濃度を薄める機能が人の体には自然に備わっているのと同じように、「仕事」という塩をやたらと取った後は、「遊び」という水でそれを薄めるようにできている、とオレは思う。

薄めるというか、緩和するというか、いずれにしてもバランスを取らないとやっていけないように人間はできているんだね。塩と水がなければ誰だって生きていけないしね。

「よく学び、よく遊ぶ」という言葉を小学生の時に先生から聞かされたけれど、どちらか一方ばかりでは人として不充分なんだろう。「英雄、色を好む」ということわざもあるけれど、色ばっかりでは単なるスケベ野郎になってしまうし、勇敢で知略に長けているだけでは人としての魅力に欠ける。すべてはバランスではないだろうか。「ほどよい程度に仕事もすれば、遊びもソコソコやっています」というのが普通でいいんじゃないのかな。

「遊び」「あそび」という言葉だけをとっても、意味するところはいろいろだ。「遊び半分で」「火あそび」「遊び人」「もてあそぶ」といった、不真面目で自堕落をイメージさせる意味で使われる一方、「遊び心」「言葉あそび」「あそびの空間」といった余裕の洒落心を表すまったく正反対の意味もあるように、遊びには二面性があるのだろう。

特にこの本で言いたかったことといえば先にも書いたけれど、なにも定番の遊興だけが「遊び」ではないということだ。家の近所をブラ〜っと散歩したり、土手のところで夕陽を眺めてみたり、お婆さんの昔話に耳を傾けたり、そういう束の間のひと時も「遊びの時間」ということなんだね。

「病は気から」というけれど、まさに「遊びも気から」だとオレは思う。気の持ち方ひとつで、別にハワイ旅行になんか行かなくても満ち足りたひと時は過ごせる。その気持ちの持ち方を、この本から見つけてくれたら嬉しい限りだな。

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あなたも志村流を身につけたら、仕事にもきっと良い影響があるはず。
ぜひ、お手にとってみてください。

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嬉しいです。ありがとうございます。
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