カジの穴を通して、イナガキは天国を見た。『家事か地獄か』(稲垣えみ子著)レビュー by G.D.ポロンスキー
その昔、ブラジル移民が「ハポネス・ガランチード(日本人は保証付き)」と呼ばれていたとか。ブラジル人はいい加減だが、日本人はクソ真面目。褒め言葉じゃない、勤勉さが揶揄されていたのだ。小作農、家督制度、政府の意向、奴隷制度の名残、人種差別などの交差する歴史を負った移民の苦労が偲ばれるが、アメリカへ、ブラジルへ、満洲へ、大挙して海を渡ってから1世紀以上がたった今、日本人の勤労観を問い直すときが来ていると思う。日本でも「できれば働きたくない」若者が増えてはいても、不労がポジティブに語