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1人でも部下を持つ人必見‼『#フェイスブック流 最強の上司』「はじめに」全文を公開します

世界の「ビッグ4」「GAFA」と称される巨大企業のひとつ「フェイスブック」

「フェイスブック」の創業は2004年。ほんの15年ほど前は、アメリカに数多あるIT系スタートアップ企業のひとつにすぎませんでした。

その草創期に、インターン1期生として採用された女性がいます。それが本書の著者ジュリー・ズオ

その後、25歳で管理職に抜擢された彼女は、やがて「フェイスブック」という大組織のデザイン部門を統括するVP(副社長)にまで躍進します。

この記事でご紹介する本では、スタンフォード大学を卒業したばかりのジュリー・ズオが、駆け出しの管理職としてキャリアをスタート、弱小SNSだった「フェイスブック」の成長をサポートし、部下とともに成長をとげた「奇跡のマネジメント術」を明らかにしていきます。

ここでは、本書の「はじめに」を一挙大公開します!!

どうぞお楽しみください!

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優れた上司は生まれるのではなく、「つくられる」


「あなたを管理職に引き上げようと思うのだけど」

そう言われた日のことは、今でもよく覚えています。
それは突然の出来事。
10人ほどが座れる会議室で、上司と斜めに向かい合って座っていました。

「幸いなことにうちのチームは今、成長しているところだから」と、上司。
「ほかにもう1人、管理職が必要なんだよね。あなたは誰とでもうまくやれるから適任だと思うんだけど、やってみない?」

私は「フェイスブック」という、スタートアップ企業で働く25歳。
「管理職」と聞いて真っ先に思い浮かんだのは「会議」と「昇進」という2つの言葉。
えっ、まさか。私が昇進? 若い私にはそれが壮大な冒険への入り口に思えました。
私は内心ドキドキしながらも「やりたいです」と答えました。

上司に言われたことについて冷静に考え出したのは、会議室を出てからでした。

「あなたは誰とでもうまくやれるから……」

でも管理職の仕事というのは、人間関係をつくるほかにも仕事はたくさんあるはず。それはいったい何だろう? ――まずは確かめなければと思いました。

はじめて〝部下〞と打ち合わせをした日のこともよく覚えています。
約束の時間に遅刻した私は、猛ダッシュしたにもかかわらず、会議室にたどり着いたのは予定時刻の5分過ぎ。
「ごめんなさい、やってしまった……」心の中でつぶやきました。
ここは先日の会議室。ガラス越しに彼が待っているのが見えました。携帯電話をじっと見つめています。

昨日までの私たちは同じチームで働くデザイナー同士。席を並べ、それぞれの仕事に励みながら、ときには意見を戦わせた仲間でした。
大丈夫、大丈夫。私は自分に言い聞かせました。きっといい話し合いができる。でも何を話せばいいんだろう――。

会議室のドアを開けると、彼が顔を上げました。そのときの表情は、今でも忘れることができません。

「お疲れさま」

できるだけ普段どおりに、声が震えないように気をつけながら言いました。

「えーと……、それで今どんな仕事をしてるんでしたっけ?」

一瞬、彼の眉間にしわが寄ったのを見逃しませんでした。

私はといえば、顔から汗が噴き出すのが自分でもわかりました。耳の中で血管が脈打ち、ドクドクしています。

自分がデザイナーとして彼より優れているわけではないことは百も承知でした。彼より頭がいいわけでもないし、経験もない。
彼が快く思っていないことは、その表情から明らかです。
彼の心の声が、真っ黒なマジックでデカデカと書かれた文字のように、脳裏に浮かんできました。

「あなた、自分の立場、わかってるんですか?」

そのとおり。私はなにもわかっていませんでした。

「フェイスブック」で働きはじめた〝偶然のなりゆき〞


私の経歴を知る人は、私のような人間が「フェイスブック」のデザイン部門を仕切るようになるなんて、と思うようです。

上海の雑然とした街で生まれ育ち、湿気の多いアメリカのヒューストンに移住。『スター・ウォーズ』もマイケル・ジャクソンも『E.T.』も知らない移民の子でした。

子どものころに「シリコンバレー」という言葉から連想していたことは、山と山のあいだに「半導体チップ」という看板を掲げた工場が整然と並んでいる様子です。

デザイナーって? と尋ねられれば「素敵な洋服をデザインする人」と答えたはずです。
それでも、子どものころから大好きだったことが2つあります。それは絵を描くことと、なにかをつくること。
中学生のときには、休み時間になるとノートに描いた落書きを親友と見せ合いっこしていましたし、高校に入るとHTMLにはまり、イラストを載せるウェブサイトをつくっていました。こうして描くこととつくることは私の大事な趣味でした。
春休みはもっぱら「フォトショップ」のオンライン講座に夢中になり、ついには「JavaScript(ジャバスクリプト)」で文字の色を反転させることも覚えました。

こういう趣味が高じて大学ではコンピュータサイエンスを専攻しようと決め、スタンフォード大学でアルゴリズムやデータベースの授業を履修しました。
いつかはIT業界の老舗である「マイクロソフト」か、新進気鋭の「グーグル」で働きたい――当時、多くの卒業生がその2社に就職していたからです。

しかし大学2年生になると、あるサイトの出現に大学内がわき立ちます。
「ちょっと、すごいよね?」
廊下でも学食でも、学生たちはその話題に夢中でした。

「有機化学のクラスで見かける彼の写真も見られるし、同じ寮の子の好きなバンド名もわかってしまう。〝ウォール〞(訳注:個人の掲示板のようなもの)にこっそりメッセージを送ったりもできるんだよ」

私はそのサイトのとりこでした。「フェイスブック」のことです。「フェイスブック」はほかのどんなウェブサイトとも違っていました。オンラインを通じて学生同士がつながることで、まるで血が通ったかのように大学内が活気に満ちあふれました。

「フェイスブック」の創業者がハーバード大学の中退者と聞いてはいたものの、シリコンバレーのスタートアップについては大学で「ベンチャー起業論」の授業を受けてから、はじめて内情を知りました。
そこはハングリー精神の地。ケタ外れの野望をもった人々が、投資家という名の神さまから支援を受け、誰も切りひらいてこなかった将来を見すえている。

人生のどこかの時点で新しいことを始めるとしたら、今しかないのでは?
今の自分は若く、失うものはない。しかも毎日使っている大好きなサイトの仕事ができるとしたら?

私には半年前に「フェイスブック」で働きはじめた友人がいました。会うたびに会社の話をし、「見においでよ」と誘うのです。

「とりあえずインターンとして働いてみたら? どんな会社かわかるから」

気軽に面接を受けた私は、間もなく「フェイスブック」の技術系インターン1期生として、ウォールアートがひしめく本社のロビーに立つことになります。

当時2006年ごろの「フェイスブック」は、社員がこぞって裏庭でパーティーをしているような雰囲気でした。
「フェイスブック」の存在を知っているのは高校生と大学生だけ。そのころのSNS業界を牽引していたのは「Myspace(マイスペース)」で、1億5000万人ものユーザーを抱えていたから、それに比べたらちっぽけな存在です。
しかし、夢だけはとてつもなく大きく、いつか「Myspace」を超える存在になって、世界をつなぐんだ――口々にそう言いながらヘラヘラと笑っていました。あまりにも荒唐無稽な夢に思えたからです。

インターンになって2カ月後、インターンから社員に登用されるきっかけがありました。
私がフォトショップで落書きをしていることを知った同僚が、デザイナーとしてページをつくってみたらと勧めてくれたのです。
「へ〜、サイトをデザインする仕事があるんですか? 私にやらせてください!」

なにしろ新しい会社ですから、どんな提案をしても誰もヘンだと思わないわけです。当時は誰もが「なんでも屋さん」でした。
特別な思い入れがあったというよりは、なりゆきで「デザイナー」という肩書を手に入れたのです。

誰も「新米上司」をかまってくれない

会議室での会話から3年たつと、わがデザインチームも入社当時の倍近くの人数になっていました。
驚異的な成長を遂げる会社で働いたことで変化には慣れていましたが、管理職としての役割がこれだけ大変だとは予想もしていませんでした。

そのひとつとして、プロダクトデザイナーを率いる管理職として、未知の責務を果たさなければならなくなったこと。
もうひとつ、人の上に立ち、チームのメンバーとともに働く環境をつくる責任は、ユーザーインターフェースを設計したりコードを書いたりするスキルとは別次元に思えたこと。
なにもかもが初体験で、いつまでたっても気が休まることはありませんでした。

たとえば、はじめて中途採用の面接を行ったときのこと。
当然、私は応募者より優位な立場にいるはず。質問をするのも会話の流れを決めるのも、採用するかどうかを決めるのも私。なのに私の手は45分間震えっぱなしでした。

くだらない質問だと思われたらどうしよう。
言っていることが上っ面に聞こえないだろうか。
うっかり変な話をして、チームのレベルが低いと思われないだろうか。

はじめて部下に「つらい報告」をした日のことも忘れられません。
チームの誰もが楽しみにしている、新規プロジェクトを始動したときのことです。

リーダーをやりたいと2人の部下が申し出てきたのですが、リーダーはあくまでも1人。どちらかを選ばなければなりません。
そもそも私の決断は正しいのだろうか。
リーダーから外れた部下のモチベーションをめちゃくちゃにしないだろうか。
もしかして「会社を辞める」なんて言われたらどうしようか……。

大勢の観衆の前で初めてプレゼンを行った日のことも、決して忘れることはできません。
それは「F8」という年次開発者会議でした。
大規模なイベントでスピーチをしたことがない私にとっては一大事。会議までの数週間は、いよいよパニックです。同僚たちに手伝ってもらい、彼らの前で何度も練習をして、どうにかこうにか乗り切ったのを覚えています。

見えてきた「仕事の内実」

私がはじめて管理職に就任してから10年以上たった現在。わがチームの規模は桁違いに大きくふくらみました。

われわれの仕事は、25億人を超えるユーザーがスマートフォンの上で青い「f」マークをタップする、その経験をデザインすることです。
ユーザーが自分の気持ちを伝えたり、友人たちの近況に触れたり、コメントをしたり、「いいね」をしたり、コミュニティをつくったりする、そうした経験をすみずみまで考えるのが私たちの仕事です。

いい仕事をすれば、世界のあらゆる場所に住む人々――ベルギーからケニア、インドからアルゼンチンまで――を、互いにぐっと近づけることができるでしょう。

10年前に新米上司だった私は、さまざまな助けを得ました。
リーダーシップについての本(ケリー・パターソン他の『クルーシャル・カンバセーション――重要な対話のための説得術』〈パンローリング〉がおすすめ)からはじまり、何度も読み返した本(アンドリュー・S・グローブの『人を育て、成果を最大にするマネジメント』〈日経BP〉やデール・カーネ
ギーの『人を動かす』〈創元社〉などが愛読書)やビジネス誌、それに新聞の記事。

でも、なによりも心強かったのは同僚たちの存在です。
マーク・ザッカーバーグ(フェイスブック創業者)やシェリル・サンドバーグ(フェイスブックCOO)、そして昔の同僚や、現在一緒に働いている人々。
彼らとともに働けることは幸運としか言いようがありません。

もうひとつ、独学のつもりで2014年に始めたブログは、私にとって大きな学びの場となりました。週に1回、頭の中でからまった考えを整理することは、ものごとをより深く理解する助けになると思いました。

しだいにブログの読者が増えたことで、「本を書いてみたら?」と幾度となく勧められたこともありましたが、最初は「ありえないこと」と笑い飛ばしていました。
まさか自分がね。

もちろん、すでに世の中にはCEOやリーダー養成の専門家が書いた本は山ほど出回っているし、大学の先生が書いた最新の組織研究や、景気の動向から導かれる経営の本も数えきれないほど存在します。
でもCEOや経営幹部などの組織のトップにいる人はほんのひと握り。たいていの管理職は小規模のチームを率いるところをはじめ、中間管理職としての悩みを抱えています。
『フォーブス』や『フォーチュン』といった一流のビジネス誌に取り上げられる人なんてほとんどいない。とはいえ管理職は管理職、やることは一緒です。

教師や指導者、監督やコーチ、プランナーも管理職でしょう。みんな、共通の目標を達成するためにメンバーを手助けするのが仕事です。
そう考えたとき、「自分なら、なにか書けるかもしれない」と思ったのです。

たとえば突然部下を任されて窮地 におちいっている人、チームのメンバーをどうサポートすればいいかわからず悩んでいる人、急成長するチームを率いている人、あるいは単純に管理職という仕事について、改めて知っておきたい人。そうした人々に読んでもらえるのなら、書いてみようと思いました。

「優れた上司は生まれるのではなく、つくられる」

これは私がなによりも大切にしている言葉。
人の上に立つことの「意味」を理解してはじめて、「素晴らしい上司」に成長する「方法」を身につけることができると考えています。

そもそも、なぜマネジメントが必要なのか。
なぜ部下と1対1で向き合うことが重要なのか。
なぜ「B」より「A」を採用すべきなのか。
なぜ多くの管理職が同じ失敗でつまずくのか。

私が本書でご紹介するエピソードや見解には、IT系スタートアップ企業ならではのものもあるかもしれません。世の中には人の入れ替わりがほとんどない企業もあるでしょうし、会議にそれほど重きを置かない職場もあるでしょう。

とはいえ管理職の仕事のほとんどは普遍的です。部下へのフィードバックや健全な企業文化をつくること、チームの方向性を考えること――どれもこれも日々の作業で重要な位置を占めています。

私はデザイナーですが、本書はプロダクトデザインを教える目的で書いた本ではありませんし、「フェイスブック」という企業についてなんらかのサービスをアピールするつもりもありません。

あくまでも、「上司」という仕事について手探り状態で、恐怖と猜疑心、そして「私はこの役割に向いていないのではないか?」という思いに苦しんでいた、「管理職1年生」の自分に読ませたかった本です。
その悩みは読者の皆さんにもかならず解決できるはず。

心の準備ができたら、さあ、始めましょう。



ジュリー・ズオ(「フェイスブック」デザイン部門・元VP)

元「フェイスブック」プロダクトデザイン部門VP(副社長)。スタンフォード大学でコンピューター・サイエンスを専攻し、在学中の2006年、草創期の「フェイスブック」で初めてインターン採用される。
その後25歳の若さでプロダクトデザイン部門の管理職に抜擢。2020年2月まで部門を統括する。現在、デザインコンサルティング企業「インスピリット」を起ち上げ、共同創業者として精力的に活躍中。

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Photo (C) Jeff Singer





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