ABCラジオ「おはようパーソナリティ道上洋三です」にて紹介された「謎のスナック」とは
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ABCラジオ「おはようパーソナリティ道上洋三です」にて紹介された「謎のスナック」とは

益田ミリさんの7年ぶり描き下ろし漫画『スナック キズツキ』をいち早く取り上げてくださったのはABCラジオ「おはようパーソナリティ道上洋三です」。おかげさまで2刷がかかりました(ありがとうございます!)。道上さんが一人喋りで「あらすじ」を伝えるご様子が、まるで落語を聴いているかのように楽しかったので、その「一人喋り」ダイジェスト(ABCラジオ「おはようパーソナリティ道上洋三です」2021年1月28日O.A.)を、本編漫画を交えて紹介します。


今日はちょっと変わったスナックのお話です。スナックといえば、お酒飲んでね。カウンター向こうのママと話をしてカラオケを歌ったりする所で、世の中の楽しさと憂さ晴らし、男と女と世情が入り混じってる所です。昭和のイメージがありますが、最近新しいスナックがオープンしまして。ちょっと変わったというのは、お酒を置いていないスナックです。他の飲み物はあります。ママがお客さんに合わせてお勧めすることもあります。

そのスナックの名は「スナック キズツキ」。カタカナで「キズツキ 」です。益田ミリさんの漫画なんですけどね。心に傷をおった人がふらっとやってきて、ママに促されるままに傷ついた心の話をします。スナックキズツキ のある夜の風景を、本の中からご紹介しようと思うのですが、頭の中で絵を想像しながら聴いていただきたいと思います。
コールセンターに勤めているナカタさんという女性がやってきました。ナカタさんはお客さんに問い詰められます。

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ナカタさんは傷ついていますが、淡々と仕事をして、アフターファイブは恋人と居酒屋でデート。仕事の愚痴もこぼしたいところですが、ついつい恋人の話をしてしまいます。お腹が減っていたのですが、恋人が蕎麦を食べてきたというので、恋人が好きそうなアテだけを頼みます。そして家で一緒に過ごすこともなく、恋人は帰っていきました。そんな時にナカタさんは路地裏にスナックを見つけます。スナックキズツキです。アルコールはないっていいます。ナカタさんはソイラテを頼みます。するとママは生演奏を始めます。適当に合わせるから、と歌うように勧めます。ナカタさんはなにを歌えばいいんですか? と聞きます。ママは「今のあなたの気持ちだよ」と答えます。ナカタさんはギターに促されて歌い始めます。

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そんな歌を歌ったナカタさんに、ママは「カレー食べる?」と訊きます。それがスナックキズツキのある夜の風景

傷ついた者しかたどりつけないスナックです。

そんなスナック一体どこにあるの? 先週金曜日(1月22日)の朝日新聞。「オトナになった女子たちへ」のタイトルが「謎のスナック開店。益田ミリさんのコラムです。益田さんはあちこち旅行もよくなさっています。旅先で見つけたスナックの話が書かれているのかと思えば、こんな一文がありました。

まっさらな原稿用紙を机に広げた。どういう主人公が出てくるんだろう? 最初に「店」が頭に浮かんだ。傷ついた人たちだけがたどり着く、その名も、「スナック キズツキ」 。お酒が置いていないスナックである。
なんだそれ?
と思いながら原稿に向かっていると、スナックのママが出てきた。そして客がきた。若い女性だった。彼女は職場でも、恋人とのデートでも、いつも小さく傷ついていた。別の日、その彼女を傷つけている人物たちもスナックにひとりでやって来た。彼らもまたおのおのに傷ついていた。(益田ミリ「謎のスナック」朝日新聞2021年1月29日朝刊掲載「オトナになった女子たちへ」より)

スナックキズツキ

これ実はイラストレーター益田ミリさんが今日(1月28日)、マガジンハウスから出す描きおろしの漫画の中にあったんです。漫画の中のスナック。

コールセンターのナカタさんにクレームの電話をしていたのはアダチさんという女性。40代くらい。どうも独身なのね。百貨店の地下で惣菜を売ってます。どうもこの人も接客でチクチク傷ついてました。バランスを考えて鯖のみを詰めていたら、お客から「もっと綺麗に入れ替えてくれ」と言われたり、「100グラムと言ったんだから100グラムきっちり入れてくれ」と言われたり。同僚からは、歯医者の予約があるのに、「子供の塾の面談があるので勤務を代わってくれ」と言われる。独身だからね、譲るしかありません。残った惣菜も同僚は「子供がいるから」と多めに持って帰って、アダチさんは残り物。独身ですから。

そんなアダチさんもスナックキズツキにたどり着きました。ママから電子ピアノの弾き語りを勧められ、アダチさんは歌います。

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コールセンターに苦情を入れてナカタさんを傷つけていたアダチさんも実は傷ついていたというわけですね。人と人は傷つけ合っている。スナックキズツキのような場があると、人は癒されるかもしれません。

読んでるとね、自分でやってみたいねこれ。スナックキズツキを自宅で。自作自演できるでしょう。自分で自分のために経営する

リスナーの皆さんがこの番組に宛てて「ここだけは言わせてよ」とメールを送ってくれる。僕はそれが嬉しいのよ。ひょっとすると、この番組がそういう場所になってるのではないかって。今ツイッターで傷ついてる人が多いのではないか。ぼくは思います。ツイッターでちょっと嫌なことを指摘されて嫌だなと思ったことをまた言う。それに対してバタバタって来たものを、また見てしまう。それよりもね。ABCラジオです。ABCラジオ「おはようパーソナリティ道上洋三です」



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