東大クイズ王が語る――美しくて、楽しくて、深い「数学の世界」
あなたの知らない「数学の世界」
はじめまして。鶴崎修功と申します。私は2023年の3月に東京大学大学院数理科学研究科博士課程(長いですね!)を修了し、「数学(数理科学)の博士号」を取得しました。でも、数学の研究者にはならず、在学時代も所属していた、東大発の知識集団「QuizKnock」で働くことにしました。
今後はQuizKnockのメンバーとして、「新たな知識を得る楽しさ」を知ってもらえるような活動をしていきますが、そのスタートとして、みなさんに「数学の面白さ」を伝えていきたい! と思っています。
私は「数学の世界」を語るうえで欠かせない3つの視点があると思っています。
まずは、「数学って面白い!」です。私が「数学沼」にハマったきっかけでもありますが、数学や数字にまつわるエピソードはどれも興味深いものばかりです。たとえば、松ぼっくりやミロのヴィーナスに共通して表れる「美しさを示す比率」など、私たちの身の回りにはさまざまな「数字の秘密」が隠されています。
また、私たちは「万」や「兆」といった単位を使って大きな数を表していますが、もっともっと大きな単位には「不可説不可説転」などという、一見冗談みたいなものもあります。そうした「数字」や「数学」にはいろいろと面白いお話があります。
2つ目は、「数学って役に立つ!」です。数学的な考え方を知っておくと、仕事や日常生活でちょっとした武器として使うことができます。たくさんのものを漏れなく数えるための「1対1対応」や、料理や仕事のプロセスを効率的にする「フローチャート」など、知っておくと便利な考え方がいろいろあります。そうした数学的知見をベースにした思考法を知っておくと、いろいろな場面で得をします。
3つ目は、「世界は数学でできている!」です。実は、数学がなくては私
たちの生活は成り立ちません。インターネット上でやり取りされているデータは「素因数分解」で守られていたり、桜の開花予想には「微分積分」の「積分法」が使われていたりなど、世の中のありとあらゆるものに数学が関わっているのです。そんな数学と世界の「意外なつながり」をぜひ知ってもらいたいと思っています。
一度ハマると抜け出せない「数学沼」
私は冒頭でも述べたように、3歳くらいの頃から「数学沼」にハマっていました。まずは「数字そのもの」にハマり、母の持っていたパズル雑誌の答えをひたすら写したりしていました。学校に通うようになってからは、「答えは1つでも、その道筋は無数にある」という、算数や数学が持つ「自由さ」に惹かれてきました。
その自由さが象徴しているように、「数学の世界」はどこまでも広く、制約のない、面白い空間です。つまり、「数学沼」は一度ハマったら抜け出せないほど深みがある、魅力溢れる場所なのです。
この数学沼に足を踏み入れてみたいという人はぜひ私の著書『文系でも思わずハマる 数学沼』を手に取ってみてほしいと思います。