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ソウル・ハルビン・シベリア鉄道・ロシアで食べたもの

清水 潔 東京出身。ジャーナリスト。日本テレビ報道局記者/特別解説委員。新潮社「FOCUS」編集部記者を経て日本テレビ社会部へ。著書に『桶川ストーカー殺人事件―遺言』『殺人犯はそこにいるー隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』などがある。最新刊は『鉄路の果てに』。
青木 俊 横浜出身。小説家。テレビ東京報道局、香港支局長、北京支局長などを経て、2013年に独立。著書に 『消された文書』『潔白』がある。

青木 今日はZoomで清水潔さんと、清水さんの新刊『鉄路の果てに』の話をしましょうということで。

清水 青木さんには原稿の段階から読んでもらってましたけど、完成した本について感想があれば。

青木 この本は、清水さんがこれまで手掛けてきた事件ものと少し異なる。よりパーソナルな彼の旅行譚と言える。旅行しながら、彼特有の「なんでこうなった?」という謎解きがあって、その謎を辿っていくと、シベリア鉄道をめぐる歴史に行き着く。つまり現実の大陸の鉄道旅をしながら、時空を超えた歴史の旅をしている感じですね。

清水 そもそも、シベリア鉄道に乗ろうと誘ってくれたのは青木さんでした。

青木 そうです。私が前々から誘っていました。私は二十歳の頃にロシアを、当時はソ連ですけど、旅したことがあって、モスクワからレーニングラード、今はサンクトペテルブルクですけど、24時間「赤い矢号」というシベリア鉄道に乗りました。その時の光景というのが、朝見ても昼見ても夜見ても明け方見ても車窓の風景が変わらない。すごく大きな雪原があって、その向こうに森がある。いつ見てもそれしかないという、広大な自然。それをもう一度、死ぬ前に見たい。それが願望だったわけです。
それで数年前から清水さんを誘っていたんだけど、その時は「寒いんじゃないですか」とかなんとか言って、全然のってこなかった。

清水 正直ね、誘われた当時ピンと来てなかったんですよ。ウラジオストクからモスクワまで乗りましょうという話だったと思うけど、1週間はかかるでしょう。そんなに時間をかけられないという気持ちもあって。
ところが、2018年になって実家の片付けをしていた時に、死んだ親父が遺したメモと地図を見つけた。親父が戦中戦後にどう大陸を移動したかが書いてあって、その動線がシベリア鉄道に重なった。それで行ってみたいと思ったんだよね。

青木 私の方では、そんなお父さんの地図のことなど詳しく知らないまま、2019年1月われわれはまずソウルに飛びましたね。本にも書いてますが、ソウルの飯は本当にうまかった。

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清水 そうそう。青木さんにはずいぶん本の中に登場いただき助かりましたよ。本を読んでくださった方の中にも、青木ファンが増えたんじゃないかな。

青木 いやいや、確かにノンフィクションの人ですし、書いてることに嘘はないですよ。その通りなんだけど。なんかね。今ひとつ事実を書いていながら、脚色があるような気もしましたよ。私がちょっとアホみたいな感じしませんかね?

清水 嘘を書いたつもりはないですよ。自分を客観的に見るとそう思うのかな。それをアホと思うかどうかは別として。

青木 ま、抗議はできないですね。書いてあることは事実ですから。

清水 今回はわれわれが旅先で食べたものを紹介するというミッションがありまして。ソウルからハルビンに移動した夜はモンゴル風のしゃぶしゃぶを食べましたな。

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青木 ハルビンの町中華もなかなかよかったですね。タクシーの運ちゃんが連れて行ってくれた餃子のファーストフードも、食べ方に謎が残るものの、なかなかいけましたよ。

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清水 たくさん着込んで歩き回りました。

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青木 いよいよハルビン出発。ボストーク号では廊下でちょっとしたスナック類が売られているのみ。巨大な湯沸かし器からお湯だけは飲み放題でした。食堂車でようやくビールにありつけてほっと一息。中国人がやっている中華食堂は、注文してない卵トマト炒めがうまかった。

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清水 中国とロシアの国境駅で足止めを食らった時には、駅裏で一軒だけ開いてた食料店でパンやチーズを買い込んだ。日本から持ち込んだカップ麺やサントリー角瓶とともに部屋で小さな宴会を。

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青木 国境駅で清水さんがホームから線路をじっと覗き込んでいた姿を、私は目に焼き付けましたよ。つまり、線路にレールが4本あると。旧日本軍の侵攻とも関係する。こういうところは「鉄ちゃん」じゃないと気づかないし、そこから清水さんが歴史を繙いていくところが本として面白かった。私なんか、ただ気楽に旅してただけですが、本を読み、こんなにいろんなことを考えていたのかと知りましたよ。

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清水 ちょっと詳しいガイドブックや、列車に乗った人のブログを見れば、国境駅で線路の幅が変わるということは書いてある。中国とロシアだから変わるんだろうと思ってたけど、さらに調べると、日本軍が関係していた。こんなに遠くまで日本人は来ていた。そこからさらにシベリアまで行ってる。
その辺りが明確にわかったのは、実際に足を運んだからですね。

青木 ロシア側の食堂車は立派でしたな。久しぶりに食べたボルシチ。

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清水 あの話をしませんか。シベリア鉄道の中でさ、青木さんは次の小説を構想してたじゃないですか。あれはその後どうなったんですか。

青木 そうでしたね。ずいぶん長いこと書いてますな。そろそろ完成に近付いてきたように思いますが……。

清水 夜中、起きると、同じコンパートメントの青木さんが宙を睨んで考え込んでいるものだから、びっくりしましたよ。タイトルはなんでしたっけ。

青木 『逃げる女』です。殺人犯の疑いをかけられた女が逃げに逃げまくる。警察が一生懸命追うんですけど、逃げるものと追うもののマンハンティングがすばらしい緊迫感を展開する。なぜその女は逃げていくのかという目的がやがて明らかになる。

清水 つまり2019極寒のシベリア旅が二冊の本を生み出すかもしれない。

青木 そうなってくれるといいですけどね。それでは最後に、イルクーツクで食べたものを一挙公開しましょう。イルクーツクでは現地のガイドさんに大変お世話になりました。日本にも留学経験があって、日本語も完璧。優秀なガイドさんでした。
かつてロシア料理をうまいと思ったことがあまりなかったけど、今回は満足しました。

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青木 最後は清水さんに締めてもらいましょう。

清水 日本の近代史というと、興味を持てない人が多いと思いますが、自分の家族を遡っていくと、必ずみんな戦争を経験している。そのかけらが、自分の家の中に残っていることもあると思う。

歴史は、つまり、そう遠い出来事ではなく、自分にも関わりがあるということを少しでも伝えられればと思います。

そして、僕も知らないことがたくさんあった。旅に出ることで、自分で調べようというきっかけに、確実になります。そんなことも伝わるといいなと思います。

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嬉しいです。ありがとうございます。
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