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『朝10分でできる スープ弁当』がベストセラーになるまでの販売戦略

昨年10月刊行の『朝10分でできる スープ弁当』(有賀薫・著)が発売から3ヶ月という、料理書として異例のスピードで10万部に到達しました。今回はベストセラーの裏側にある販売戦略に迫ります。
まずは、編集担当の話。料理書をはじめ、生活・暮らしまわりの本をこれまで多数手がけてきました。


◆コンセプトと表紙

編集担当:和田 スープジャーの機能に可能性を感じ、スープ作家として毎日スープを作っておられる有賀さんに相談しました。
数年前のブームを経て、今回初めてジャーを使ってみたのですが、保温調理機能にびっくり! じゃがいもなどを固いまま入れても、昼には火が通ってホクホクに出来上がっているんです。さらに有賀さんのレシピは、具だくさんの"食べるスープ"だから1品でOK。汁物なので、盛りつけもそこまで気を使わなくていい。
(僕自身もですが)忙しい日々を送りながら、「できるだけ料理に手間はかけたくない」「朝から弁当なんか作れるわけない」と思っている人に最適な方法なのでは……と考え、この本の企画が生まれました。

一方で、本を売っていく観点で話をすると、最も影響するのはタイトルを含めた表紙です。タイトルには「朝10分でできる」、そして帯コピーは「ひと煮立ちさせて、スープジャーに注ぐだけ」として、徹底的にハードル低くみせることにこだわりました。あったか〜いビジュアルも、寒い季節に手に取りやすいと好評です。

名称未設定のデザイン (1)

◆SNSで着実な話題づくり

編集担当:和田 有賀さんは日々Twitterやnoteで発信しています。スープジャーの基本を紹介したトリセツ記事をはじめ、レシピのアドバイスをしたり、書店の売り場写真をシェアするなど話題を提供し続けています。
また、イベントとSNSを組み合わせた発信も効果的でした。発売記念イベント(HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE)が行われた時のこと。スープジャービギナーの人たちに向けてどのスープジャーが使いやすいのか、どんな手順で作れるのかを目の前で実演して、大変盛り上がったのですが、その内容をnoteに投稿してさらに広がっていきました。​


こうした地道な販促を続けて少しずつ人気が出ていたところ、最大の牽引力となった、テレビ出演が決まります。以前より付き合いのあったディレクターに献本していたのが放送に結びつき、1月中旬に「おはよう朝日です」(朝日放送)が15分ほどの特集を組みます。
関西方面での放送でしたが、直後に新聞広告を連動させることで全国的な認知度をアップさせることに成功。その後も昼の情報番組「ヒルナンデス !」(日テレ)など、テレビ番組での紹介が続きました。年末までと、年明け以降で、書店での展開が大きく変わったと書店営業チームは話します。

◆本格的なブーム到来

書店営業チーム 発売直後からじわじわ手応えを感じていました。料理書のジャンルでは、ここ近年、「小鍋」「みそ汁」といった「一人」「汁物」の流れがあったので、「スープ弁当」もその流れに乗れればいいなぁと。
既刊本の実績がおありだから、有賀さんを応援している書店員さんもあちこちにいて。ご本人作成のミニサイン色紙も好評でした。「本当に10分でできるんですか?」って突っ込んでくる書店さんもいましたが、実際にやってみたら本当に10分でできたって逆にファンになってくれました。

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書店営業チーム 年が明けてテレビが決まるようになって一気に全国区になったと感じています。大きく展開する書店も格段に増えましたし、有賀さんと担当編集の和田さんで作った「作り方動画」DVDも積極的に店頭で流して頂いています。

書店営業チーム 有賀さんの著書を出している版元にお声がけして4社合同フェア(マガジンハウス、学研プラス、文響社、プレジデント社)も企画しましたが、あっという間に注文が集まって、申し訳ないことに何十軒もお断りしたほどです。営業としては嬉しい悲鳴です。

フェア用パネル

◆スープジャーの機能とレシピが時代に合った

編集担当:和田 読者ハガキをたくさん頂きますが、「家で食べるのに利用してます」「ダイエットでスープ弁当に挑戦!」「(シニアの方が)塩ひかえめで助かる」など、当初考えた以上に多様な使われ方をしていることに気づかされます。
そして多くのハガキに共通しているのは、「少ない材料でシンプルなのに、飽きずにおいしい」ということ。有賀さんは"手間は少なく、おいしさ増やす"をモットーにされているのですが、誰でも作りやすく、アレンジもしやすくなっています。
スープジャーの機能と、作る人のことをきちんと考えたレシピが、ミニマルな時代性にマッチしたと実感していますし、さらに本の魅力を多角的な販促によって幅広い層にリーチできたことが、大きなヒットにつながったと思っています。

僕たちとしては、今後も『スープ弁当』の自由さを広く伝えていきたいです。春夏に向けては、冷房対策も謳いつつ、涼しげな帯での展開を、営業チームと一緒に考えていくところです。

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◆ベストセラー解剖『朝10分でできる スープ弁当』まとめ

・時代に刺さるレシピ本のコンセプトと表紙づくり
・有賀薫さんの細やかな販促活動
・イベント&SNS&売り場で、読者を巻き込む
・テレビ番組紹介で、認知度を全国区へ
・読者のリアルな反応を見て、売り方を考える、変える

まだご覧になったことがない方は、本の詳細はこちらまで。

表紙画像を「みんなのフォトギャラリー」にアップしました。表紙画像とともに、作ったスープ弁当をnoteに書いていただけたらうれしいです!

#スープ弁当 #スープ #有賀薫 #マガジンハウス


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