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『鉄路の果てに』鈴木成一さんブックデザイン詳細

5月21日発売予定の『鉄路の果てに』(清水 潔・著)のカバー色校が上がってきました。ブックデザインは鈴木成一さん。鈴木成一さんといえば、これまでに手掛けた装丁の数は1万冊を超える、その道の第一人者。
鈴木成一さんとのやりとりを通じて、本のデザインがどう出来上がっていくか、取材してきた材料がどんな工程で形になるのかを紹介します。最後には、鈴木成一さんがどんな用紙にどんな加工をしてデザインされたか、その手の内も明かしてくださいましたので、お楽しみに。
鉄路の果てに』の内容に興味を持ってくださった方は、こちらの紹介記事をどうぞ



①装丁の打ち合わせに伺う

2019年12月。
打ち合わせには、必ず小さなノートと共に現れる鈴木成一さん。こちらの話を「ふむふむ」言いながらじっくり聞いてくれます。時折、小さな文字でなにやらこちょこちょメモするのが常。

本書『鉄路の果てに』の最初の打ち合わせは昨年(2019年)12月初旬。その時のタイトルは「西へ西へ(仮)」。著者の清水 潔さんが、亡き父の足跡を辿ってシベリア鉄道に乗り込み西へ西へと向かう話と説明。
旅の道中で写真をたくさん撮っているので、そのなかからカバーにふさわしい写真を選ぼうと盛り上がる。また、「父」が遺した戦争時の地図(自分が移動した場所に赤線を引いている)も現存する。写真と地図をコラージュできないか。そんな相談を持ちかける。
ざっくりとした方向性が見えてくる。
鈴木さんに原稿を渡す。
打ち合わせはするものの、鈴木さんが原稿やゲラ(*原稿を印刷所に入稿したもの)を読んで、デザインの方向性がガラッと変わることもある。

②大量の写真を渡す

2020年2月。ふたたび打ち合わせ。この時には本文ゲラの作業も進み、図版の作成も依頼。シベリア鉄道旅の膨大な写真データと「父」の地図を渡す。タイトルは『鉄路の果てに』になったと伝える。
当初、写真はカバーにのみ入れるつもりだった。が、膨大な旅の写真を見てしまうと、色々本に盛り込みたくなる。結果、予定を変更して、章扉に写真を使用していただくことに。
著者の清水さんと選定した候補写真だが、最終判断は鈴木Dに委ねる。カバーにはどんな写真が選ばれるか。ドキドキしなら待つ。

③使用写真決定

3月。使用写真が決まる。

④装丁案が出来上がる

4月前半。装丁案が出来上がる。イメージ通り。カバーは写真のみで、地図は帯(*キャッチコピーなどが刷られ、本に巻かれる紙)に使用されている。
実寸でプリントアウトして、束見本(*つかみほん:実際の製本時と同じ紙で造られた見本。ただし、中身は印刷されておらず白紙。この束見本で本文紙の雰囲気や、出来上がりの感触、分厚さ、重さなどを目と手で感じる。下記写真)に巻く。

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とてもいい。
鈴木Dから送られてきた「仕様一覧」を見ると、帯の用紙として、クラフトペーパー デュプレN という文字が。さらに、*白面を面に。と追記も。
どんな感じに刷りあがるのか。何やら良さげな雰囲気。色校が楽しみ。

⑤入稿、そして色校出稿

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4月半ば。カバーの色校が出て来た。下は加工なし。上はマットPP加工。マットPP加工することで、ぐっと印象が強くなる。デザイナーさんはすごいなといつも思う。想像力と経験で、マットニス加工やら、マットPP加工やら、グロスPP加工やらを指定してくる。

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クラフトペーパーの白面に刷られたキャッチ。自分でプリントアウトを眺めていた時より断然いい。このクラフトペーパーの感じが、作品の内容とピタリと一致している。

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カバーを取ると、モノクロでこんな風にまた写真が現れる。寒そう(実際に寒かった。たしか零下20度くらいだったか。2019年1月ロシア・イルクーツク近郊にて著者撮影)。

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「父」の地図を別丁扉(*本文が始まる前に差し込む扉)にも入れていただく。地図がなければ1色刷りのところ、「父」の遺した赤線が大事なので、2色刷りに。
清水さんのお父さんは戦争で千葉から下関、釜山を経由して、京城(ソウル)、ハルビン、そしてバイカル湖まで連れて行かれた。戦後3年半もの間、厳冬の地シベリアに抑留され労働を強いられた。  

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束見本に色校を巻く。ずっと目の前に置いておく。愛着が湧きます。電子書籍では感じられない紙の本の愉しみ方。

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最後までお付き合いくださりありがとうございます。
下記が、鈴木成一さんの貴重な仕様一覧です。

『鉄路の果てに』(清水 潔・著)仕様一覧

版型   130×188mm 四六判 
製本   並製/256頁
用紙
 カバー MT A+ - FS 四六判Y目110 kg
 帯   クラフトペーパー デュプレN ハトロン判T目124kg
     *白面を面に。
 表紙  GAクラフトボード シルバーウォール L判T目20kg
 見返し トーンF WG4 四六判Y目90kg
 別丁扉 トーンF WG2 四六判Y目60kg
 本文  メヌエットフォルテホワイト 四六判Y目62.0kg(紙厚0.130mm)
加工
 カバー オフセットProcess4C + マットp.p.加工 
 帯   オフセット2C +マットニス引き 
 表紙  オフセット1C
 別丁扉 オフセット2C 
 本文  オフセット1C       20200420suzukiseiichidesignoffice

本書の内容紹介はこちら


嬉しいです。ありがとうございます。
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