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『松本隆 言葉の教室』デザインの秘密

11月16日発売の『松本隆 言葉の教室』(延江浩・著)。そのデザインにまつわる幾つかの秘密を紹介します。

まずは、本書のあとがきから。

言葉の教室が進むごとにピアノのレッスンを受けていた幼少期を思い出した。上巻の赤いバイエルを抱えて通った日々。レッスンをこなし、下巻の黄色いバイエルに進んだときの誇らしさを味わった。(中略)
「松本さんはとてもすごい人なのに、なぜぜんぜん威張らないんですか?」
ぼくが尋ねると、松本さんは「え?」というような表情で微笑んだ。
「威張るなんて、そんなこと、考えたこともない」 
いまでもおいしそうな店を見つけると、行列の最後尾に並び、麻布にある行きつけの老舗の蕎麦屋では、気軽に細野晴臣さんと待ち合わせる。(『松本隆 言葉の教室』あとがきより抜粋)

「風をあつめて」「木綿のハンカチーフ」「ルビーの指環」「赤いスイートピー」「硝子の少年」……誰もが思わず口ずさんでしまう名作の数々を生んできた稀代の作詞家・松本隆さん。大御所にもかかわらず、ふらっと待ち合わせ場所に姿を現し、可笑しそうに話してくださる。「言葉の教室」には、いつも心地のよい風が流れていました。

その風を本の形にできないか。そんな思いを胸に、著者の延江さんが向かった先がブックデザイナー名久井直子さんです。

「いい人がいますよ!」

名久井さんがその場で、イラストレーションを手がける福田利之さんに電話して、あっという間に構想は具体化していきます。後日、福田さんが仕上げてくださった模様には小鳥や蝶々、ト音記号や風車が見え隠れする、なんとも静かで端正な美しい世界が広がっていました。まだ編集中だった『松本隆 言葉の教室』の最終ゴールが明確にイメージできた瞬間でした。

こちらがその色校です。

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帯には最果タヒさんからいただいた言葉が刻まれました。左下は、カバーを取った時の表紙、右下は扉です。少しずつ色の違うブルーが重なり合う、ワクワクする造本です。実は、カバーと扉は同じ「青」インクを使用していますが、刷る紙が異なるために色に微妙な違いが生じます。

そういえば、松本隆さんは「言葉の教室」の中でこんなことをおっしゃっています。

ぼくはずっと日本語にこだわって表現してきました。たとえば日本語のいいところは、青という色を表現するとき、その方法が何十種類もあることです。
藍色、群青色、瑠璃色......。英語だとひとことブルーに尽きるところを、青
藍、空色、紺碧......無限にあります。それに自分で新しい言葉をつくることだってできる。(『松本隆 言葉の教室』はじめにより抜粋)
「はじめに」全文はこちらで公開中。

2種の「青」を3種の紙に刷った本書の「青」を、松本さんならどんな風に表現されるでしょう。

ちなみに、カバーと扉の「青」は、「松本 隆トリビュートアルバム初回盤特典」の松本隆50周年記念総力特集本『100%松本隆』を少しだけ意識しています。

本書には、色の表現についてもさまざまな考察が記されています。それもまた追い追い紹介していきたいです(もちろん、ぜひ本書でもお読みいただきたいです)。

発売は11月16日。予約開始してます。

Amazon以外はこちらより。

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