『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』書評を紹介します
大変な労作、そして傑作である。『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』(マガジンハウス)は、松任谷由実氏(以下ユーミン)の生い立ちからプロ・デビューまでを振り返った重厚な本だ。その成り立ちは特異で、小説家の山内マリコ氏がユーミンに徹底取材を行い、本書を書き上げたという。小説ともルポルタージュとも微妙に違っており、あえて言うなら、「ノンフィクション・ノべル」といったところだろうか。
ユーミンは、八王子の裕福な呉服屋の娘として生まれた。幼い頃からピアノに触れ、三味線音楽を学び